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2009-12-21[n年前へ]
■僕らが見たつもりになっている世界
森達也の(小中高生に向けて書いた)「世界を信じるためのメソッド―ぼくらの時代のメディア・リテラシー (よりみちパン!セ) 」から。
つまり物事は、どこから見るかで全然違う。なぜなら世の中の現象はすべて、多面的だからだ。
わかりやすさは大切だ。学校の授業だって、わかりづらいよりはわかりやすい方が良いに決まっている。でもね、ここで大切なことは、僕たちが生きている今のこの世界は、そもそもとても複雑で、わかりづらいということだ。
何かを撮るという行為は、何かを隠す行為と同じことなのだ。
もう一度書くよ。僕たちはメディアから情報を受け取る。そして世界観を作る。でもそのメディアの情報に、大きな影響力を与えているのも僕たちだ。メディアが何でもかんでも四捨五入してしまうのも、その四捨五入がときには歪むのも、実際の物事を誇張するのも、ときには隠してしまうのも、僕たち一人一人の無意識な欲望や、すっきりしたいという衝動や、誰かわかりやすい答えを教えてくれという願望に、メディアが忠実に応えようとした結果なのだ。
学生時代、写真館でアルバイトをしていた。結婚式の写真を1,2mmトリミング(切り取る)するだけで、ずいぶん違う写真に変わることに驚かされた。たった2人しか写っていない写真でさえそうならば、たくさんの人たちがいる世界を写したはずのものは、ほんの少しのトリミング次第で、どれほどに大きく変わってしまうものなのだろうか?