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2010-04-07[n年前へ]
■向田邦子の小説から滴る、かなしみ、滑稽さ、懸命さ、やるせなさ。
角田光代の「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」から。
たしかに、向田邦子の小説はよく切れる包丁のようではある。けれど、その切り口のなんと痛々しいことか。切り口から滴る、かなしみ、滑稽さ、懸命さ、やるせなさ。
久世光彦の「美の死―ぼくの感傷的読書」から(最も失敗した作品の中で・・・)。
<<向田邦子は、小説のなかで、虚構をかりてありのままの自己を語ろうとしたが、それは不可能、すくなくとも非常に困難であることが、書きはじめてすぐにわかった。二十編ほどの小説の多くは、こざかしいだけで底の浅いものである。成功した作もあるが、それは自己を語ったものではない。むしろ向田邦子は、最も失敗した作のなかで血をしたたらせている。 (高島俊男 「メルヘン誕生―向田邦子をさがして」)>>
慧眼である。