hirax.net::inside out::2009年09月20日

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2009-09-20[n年前へ]

「映画版長編アニメ」と「グランドツアー」 

 かつてイギリスの裕福な家に生まれた若者たちは、大人になる儀式として「グランドツアー(Grand Tour)」に出たという。その長い旅行で使われた馬車の略称は、現代の日本でも"GT"という(車の)略称として残っている。

 春休みや夏休みには、日常を描いたTVアニメが長編映画として公開されることが多い。そうした映画を見ると、「グランドツアー」を連想してしまう。なぜなら、これまで慣れ親しんだ日常世界から遠く離れ、異世界に混じり試練を乗り越えて大人になりつつ、元いた場所に戻る…という「物語」が多いような気がするからだ。それは、やはり少し「グランドツアー」に似ているように思う。

 もといた場所に戻らない「グランドツアー」があるとしたら、それは一体どんなものだろうか。それは、たとえば、 惑星間グランドツアーと呼ばれた無人探査船「ボイジャー」のようなものなのかもしれない。

 映画を見た観客も、スタッフロールが流れた後には必ず日常に戻る。もしも、今も宇宙空間を先へ先へと進み続けるボイジャーのように、決して日常生活には戻らない「グランドツアー」映画、観客を二度と帰さない映画版長編アニメがあったたとしたならば、そんな映画を見てみたいと思うものだろうか?それとも、そんな映画は見たくないと思うものだろうか。