hirax.net::inside out::2013年01月25日

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2013-01-25[n年前へ]

巨大な「落雷が作り出すガラス細工(閃電岩)」を探してきました。 

 「超手動検索エンジンぐるぐる」を再開しました。すると、検索アドレスにこんな依頼が飛び込んできました。

 「メラニーは行く!(Sweet home Alabama)」という映画を見ました。「雷」が重要なアイテムになっている映画です。映画中で「雷が落ちた砂漠の砂が融け・ガラス化した樹木状のもの」が美しくてとても印象でした。
 ルシャトリエライト (lechatelierite) と呼ばれるものらしいのですが、検索で引っかかるのは数 cm 程度の大きさで、透明でもなく何だか山芋みたいなものばかりです。もしも大きなルシャトリエライトがあるなら見てみたい!というわけで、探して下さい。

 砂上に雷が落ちたとき、落雷による電流が落雷地点を中心として砂中に流れ、ジュール熱が発生します。その熱が砂を溶かし、雷の経路形状のガラス細工を作り出します。

 雷が地面に落ちると、落雷による電流はリヒテンベルク図形と呼ばれる、線香花火のように周囲に広がるような形を描き出します。周囲に大きく広がっていくということは、そこに流れる電流量は少なくなります。電流量が少なくなるということは発熱量が少なくなるということなので、落雷地点から少し離れると、砂が溶けガラス細工を形作るということはなくなります。
 つまり、地面に落ちた雷が比較的均質に広がる限り、巨大なルシャトリエライトは生じえない、というわけです。(雷が持つエネルギー量と落雷地点での電流分布を考えれば、ルシャトリエライトの典型的な大きさは導くことができそうですね)

 けれど、世の中には不均質が満ちていたりもしますから、地面に落ちた雷があまりど広がらないまま砂中を流れたりもします。そんな時には、大きなルシャトリエライトができるはずです。

 というわけで、「超手動検索エンジンぐるぐる」が検索の旅から帰ってきました。ぐるぐるが持ち帰ってきた検索結果は、こんな具合です。

 1996年、フロリダのキャンプ・ブランディングで作られた「世界で一番大きなルシャトリエライト(1999年調べ)」は、全長5.2メートルほどの大きさです(参考: LIGHTNING MAKES GLASS)。これは、ちょっと”巨大”ですよね?
 ぐるぐるは、透明なlechatelieriteに出会うことはなかったようです。「透明」ということは屈折率が極めて均一だということです。しかし、lechatelieriteの生成過程からすれば、lechatelieriteはそのような均質な状態にはならず、白~灰黒色にならざるを得ないのではないでしょうか。
 …とはいえ、世界は広いので、もしかしたら、巨大で透明なlechatelieriteが地球上のどこかには(あるいは宇宙のどこかには)存在しているかもしれません。

 というわけで、「超手動検索エンジンぐるぐる」を再開しました。もしも、調べたいこと・知りたいこと・手に入れたいこと…そんなことがあったなら、jun@hirax.netまで教えて頂ければ幸いです。