2013-02-21[n年前へ]
■「コンテキスト(背景)から独立して写真を見ることはできない」ことを「キャパの反転写真」で確認してみよう!?
横浜美術館で「ロバート・キャ パ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」が開催されています。
ロバート・キャパ(Robert Capa)とは、写真家のフリードマン・エンドレ・エルネーとゲルタ・ポホイルによって作り出された架空の人物。(彼らは)写真を売り込むために「ロバート・キャパ」という架空のアメリカ人写真家を創作した。架空のキャパ名義を使うと3倍の値で売れたとされている。
下の写真は、「ロバート・キャ パ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」のリーフレットです。眺める視線を打ち抜くように銃を構える女性兵士、眺める視線に打たれたかのように倒れる兵士…けれど、このリーフレット、実はどこかが「違って」います。
だから、私たちは撃たれる兵士の側(左)から写真を眺め、撃たれたかのように見える兵士と同じように(右側から飛んでくるかに見える弾丸の衝撃を)体に感じる、というのが、この写真の(本来の)コンテキスト・文脈なのです。
こんな風に「反転写真(と元の写真の違い)」を眺めると、私たちが「コンテキスト(背景)から独立して写真を見ることはできない」ということに気づきます。
さて、(写真が)左右対称な下の2枚チラシは、どちらが「本来」のものでしょう?…左の「(私たちの視線に相対するように)私たちに向かいレンズを構えるカメラマン」が正しいのか、それとも、私たちの視線が動く先(視線の先)にカメラがあり、何かをフィルムに写しているのか」…正しいのは一体どちらでしょうか?
答はもちろん、左側です。この(左側から読む)横書きのチラシ中では、写真中のカメラマンたちは左側を向くしかありえません。右側にレンズを向けたとたん、鋭くレンズで被写体を狙う(私たちの視線を打ち抜く)カメラマンではなくなり、私たちと同じようなただの人…になってしまいます。
私たちは、コンテキスト(背景)から独立して写真を見ることはできないのです。