hirax.net::inside out::2015年03月05日

最新記事(inside out)へ  |   年と月を指定して記事を読む(クリック!)

2015年2月 を読む << 2015年3月 を読む >> 2015年4月 を読む

2015-03-05[n年前へ]

未来に失われる「今この瞬間」に没入できる「この瞬間を記録しておくこと」は、きっと未来の役に立つ 

 SIGGRAPH2015の没入感コンテストみたいな「没入感コンテンツ」を作るなら、個人的には「実写は使わない」。だって、どこかに行けば本物が存在する”コンテンツ”だったとしたら、本物の方がずっとリアルだし・豊かだし、その本物と再生物の間にある差分としての「物足りなさ」を感じちゃうだろうし。

 だから、たとえば「昭和の日本の景色」みたいな、もう行くことができない場所に行けるコンテンツならば、とても体験してみたいと思う。もう今は存在しない60〜80年代の東京、数え切れない人たちが生活していた香港九龍城、廃墟となる前の軍艦島、90年代のバンコク…何だかそういう没入感コンテンツこそ眺めてみたい。(参考:昭和が古臭く見えたり懐かしく思えるのって写真の画質のせいだよな?

 かつて自分がよく知ってた世界を眺めると、色んな記憶が鮮明に甦る。…だから、GoPro6台リグとか、Ricoh Theta m15みたいな全天周動画を撮れるカメラで、普通の場所を意味無く撮り溜めておけばいい思う(昨年11月のチェンマイ・ロイクラトンは、そんなGoPro6台リグ野郎達が溢れてた。韓国から来たGoPro6台リグでステレオ撮影していた野郎は熱かった。…しまった名前聞いとけば良かった。<−3m三脚の上にTheta取り付け撮影してたわたしもたぶんその野郎のひとりだ)。そうすれば、20〜30年後、その世界に没入し・症状が改善する将来のボケた老人(それはつまりは将来の自分自身のことだ)だってとても多いだろう。

 今、Google Street view carが走り回って写し続けてるこの瞬間の360°の街並みの数々は…きっと十年・二十年先に、貴重なメディカル・マテリアルになっているに違いない。Google Medical health care centerとか、数年先に立ち上がってても、全然違和感ないかも(Google社員が読んだらら鼻で笑いそうだけど)。

 で、3丁目の夕日的なかつての昔あった世界をレンダリング生成し甦らせる技術を持っている人たち作り上げるコンテンツが、数年先には、(多分)認知症治療とかその手の業界で普通に使われ・役立っているんだろう、と思う。それは、機械・光学・物理技術が現在の医療を作り上げてきたけれど、将来は情報技術がその役割の少なくない割合を担っているという具合だろうと考えてみたりする。