2008-12-19[n年前へ]
■アップルとニュートンとワーズワース
今のApple、かつてのApple Computerの一番最初のロゴは右の中世風スケッチのようなものだった。木陰で人が本を読んでいて、その人の頭上には木が林檎を実らせている。そして、その林檎が地面に向かって落ちようとする瞬間を描いた絵がapple Computerのロゴだった。
つまり、木陰で読書する人は万有引力の法則を見いだしたアイザック・ニュートンであり、ニュートンの目の前で林檎が地面に向かって落ちようとしている瞬間を描いた絵が、Apple Cmputerのロゴだった。自分たちの会社名の"Apple"を、世界を動かす力を見いだすきっかけになったという”伝説”の林檎になぞらえたわけだ。
そして、このロゴの周囲にはこんな文章が刻んである。
NEWTON… "A MIND FOREVER VOYAGING THROUGH STRANGE SEAS OF THOUGHT…ALONE."この文章は、イギリスの詩人ワーズワースの詩 THE PRELUDEからの引用だ。ニュートン像を思い浮かべながら、ワーズワースが綴ったこんな一節(のさらに一部)を抜き出したものになる。
And from my pillow, looking forth by light Of moon or favouring stars, I could behold The antechapel where the statue stood Of Newton with his prism and silent face, The marble index of a mind for ever Voyaging through strange seas of Thought, alone.
このApple Computerの一番最初のロゴは、古くさくて洗練されたデザインではないけれど、このロゴからは「世界を動かす力・それを生み出す力になる」という若い自信が感じられていい。地上に落下した林檎の30年後、つまり現在の世界を眺めてみると、なおさらにそう思う。