2010-11-25[n年前へ]
■心斎橋で「数学パズル」デートをしてみよう!?
東京や大阪といった大都市を歩くとき、その足下に川が流れていることも多いものです。かつて地上を流れていた川の上が、今では道となり、その上を私たちが歩いていたりします。たとえば、大阪の心斎橋近くも、昔はいくつもの川が流れていたのに、今では、それらの川が流れていた場所には道路が建設されて、そして、その上を車が走っていたりします。
いつか、そんな心斎橋近くに行く時、いつか「浪華二十八橋智慧渡」の町並みを実際に歩いてみたいと思っています。「浪華二十八橋智慧渡」というのは、江戸時代 水野忠邦が老中だった頃に出された和算書「算元算法」の中に書かれている数学の問題で、つまりは、日本版「ケーニヒスベルグの橋」問題です。心斎橋近くにかかる二十八の橋すべてを一筆書き状に渡ることができるか?という問題です。
「ケーニヒスベルグの橋」は数学者オイラーが解いてしまっているので、その変形でもある浪華二十八橋智慧渡は一目でその答え「一筆書きで通ることができるか」はすぐわかります。けれど、江戸時代の最先端の数学に描かれた町並みの上を自分の足で歩くことができると思うと、何だかゾクゾクしてきます。
大阪近くに住んでいて、時間だけはたくさんあるという人がいたら、心斎橋近くで「数学パズル」デートをしてみると面白いかもしれません。浪華の二十八の橋(があった場所)を、昔の景色を想像しながら歩き眺めてみるのです。そして、「一筆書きできない」ということを実感しつつ、一度歩いた場所を逆方向から歩いてみたりする・・・そんな、時間だけは贅沢に使う「数学パズル」デートはいかがでしょう?それは、とても得難い貴重な一日になるような気もします。
万城目学「ホルモー六景 」の中の一話「ローマ風の休日」は、京都鴨川沿いを舞台に、一人の男子高校生が自分では気づかないうちに年上の女子大生に抱いていた淡い恋心と、”デート風に見えるけれどもデートではない”一日、鴨川の始まりとなる出町柳辺りから、御池大橋までを舞台に、オイラーが解いた「ケーニヒストベルグ橋の問題」をなぞる数時間(と数ヶ月)を描いた懐かしく切ない一話です。
大阪版「ケーニヒスベルグの橋」に限らず、あなたのいる街にそれぞれの「ケーニヒスベルグの橋」があることと思います。たとえば、京都なら右の絵のような「鴨川 DE ケーニヒスベルグの橋」といった具合です。そんな、ご当地「ケーニヒスベルグの橋」を見つけて、「数学パズル」デートをしてみるのはいかがでしょうか?