2011-01-24[n年前へ]
■「HDR写真」と「現実」
ハイダイナミックレンジ合成写真(HDR写真)は、とても不自然に見えます。そして、それと同時に、HDR写真からは一種独特の空気感を感じます。右の写真は、一年近く前に撮影したHDR写真です。水鉄砲を手にするこどもが遊ぶ横を、本物の銃弾を撃つことができる銃を持つ人たちが歩いていたりします。日が真上から差すこの時間には、大人は日陰で休んでいるので、通りの中心はまるでこどもたちが支配している世界であるかのようにも見えたりもします。戒厳令が出ている街とは思えない景色です。
HDR写真にしないと、日向と日陰とのコントラスト、陰と陽のコントラストを滑らかに映し出すことはできません。かといって、HDR写真にしてしまうと、現実味が欠けた景色にしか見えないのも、また事実です。
肌にまとわりつく熱い空気と折り合いをつけながら歩いていると、ビルの壁に張られた大きなドラえもんと目が合います。重要個所を守る警備員が本物の銃と共にドラえもん銃も持っているのを眺め、こどもやその家族が同じようにドラえもん水鉄砲を抱え遊ぶ姿を眺めていると、自分の目で眺める景色のコンストラスとが全然わからなくなります。そんなとき、目の前にある景色が、まるで、ハイダイナミックレンジ合成写真(HDR写真)であるかのように感じられたりもするのです。