2011-07-28[n年前へ]
■「自炊」と「野宿」と「トイレの紙」
紙書類を読み取り電子化するFUJITSU ScanSnap S1500 FI-S1500を、一週間2000円という価格でレンタルしたので、数日前から「手元にある紙資料や書籍」の電子化作業をしています。つまり、いわゆる「(電子データがない書籍などのデジタルデータ化する)自炊」という類の作業を(ひたすら)しています。スキャナを返却するまでには、このままのペースで行けば、300〜400冊子(冊子)くらいを電子化することができそうです。
作業にかかる時間コストを考えなければ、今回の電子化作業のコストは1冊子(冊)あたり10円程度という程度です。おそらく、メンテナンス料金を考えれば、「スキャナはレンタルで済まし、集中的に読み取り作業を行う」というのが、(便利さを考えず・コストだけを考えるならば)一番おトクであるように思えます。都会生活においては、車は所有するよりレンタル(シェア)する方がリーズナブルであるように、プリンタとかスキャナといった機器は、(都会に住む人であれば)所有するより共有する方がおトクであるモノになっているはず(あるいは専門業者に委託した方が良いものになっている=そういうビジネスが十分成り立つ条件になっている・分水嶺を超えている)、というのが私の認識です。
さて、限られた時間の中で紙資料・紙書籍の電子化作業をしていると、「一体、どれから電子化すれば良いだろう?」と悩んでしまいます。
…けれど、そんな悩みを抱える時であっても、「これは電子化しなくて良いな」と感じる類のものもあります。それは、たとえば、便利さの追求とは異なる内容・ベクトルを持つ読み物群です。
私の愛用トイレには、ミニコミ誌「野宿野郎」が並んでいます。たとえば、こんな野宿を愛好する人たちが書く本などは、電子化したいとは思わない…いや、むしろ、電子化してしまってはツマラナイ類の本に思えます。電子書籍で野宿記録を読むなんて…何だか少し収まりが悪い組み合わせでしかないように感じます(電子化がネタとして扱われるくらいですし)。
「深夜、学校のトイレで聞こえる”赤いマントは要らんかね?”」という声の話と同じように、「深夜、学校のトイレから、この世のものとは思われぬほど悲しげな声が響いてくる…”紙をくれ”…」という怪談ならぬ小話は、夏の山奥で誰しも聞いたことがあるのではないでしょうか。
…そう、トイレという場所は、何より「紙」というリアルなマテリアルが活躍する場所なのです。トイレで必要とされるのは・似合うものは、電子化されたデータなどではなく手に持ちお尻を拭くことができる「紙」なのです。もしも、トイレットペーパーを使い切ってしまったとしても、トイレに本棚があれば、本棚にある書籍のページを破りさえすれば、”ノープロブレム”でコトを済ませることができます。けれど、もしもトイレの書籍も電子化されてしまっていたならば、コトをいたしたその後にトイレに紙がないと気づいたならば…それは想像するのも恐ろしい事態です。
iPadやiPhone/androidはトイレットペーパーの代わりはできない、のです。「いざ」という状況に似合うのは、トイレットペーパー(あるいは、その代わりになる書籍)と水なのです。