2012-03-19[n年前へ]
■続 よっちゃんイカ「当たりクジ印刷」の工夫の秘密
よっちゃんイカのアタリ・ハズレを袋を開けずに見る方法 で、「(特殊な配置で)よっちゃんイカの袋を光にかざすと(左の写真のように)アタリ・ハズレが見えてくる」と書きました。つまり、それを逆に言えば、ただ普通に光にかざしてみただけでは、アタリ・ハズレを透かし見ることはできない、ということです。そこには、意外に興味深いアタリ・ハズレを丸見えにしないための工夫が隠されています。
まず、誰しも一番最初に「おやっ?」と思うはずのことは、(右の写真のように)よっちゃんイカの袋を開けて眺めた時には白背景に比べて濃い灰色で描かれているはずのアタリやハズレが、それを光に透かしてみれば、(冒頭左に示した画像のように)なぜか周りより明るく輝いて透明に見える…ということではないでしょうか。
アタリ・ハズレを普通に黒インクで印刷したなら、裏から眺めた時も・透かしてみた時にも、いずれも周りより濃く見えるはずです。…ということは、逆に言うと、よっちゃんイカのアタリ・ハズレは、ただ単純に黒インクで印刷しているというわけではないのです。
よっちゃんイカの(アタらなかったので)ハズレ印刷を顕微鏡で眺めてみると、一見、中間調の黒インクで印刷されているように見えます。しかし、さらによく眺めてみると、アタリ・ハズレを描いているのは、黒インクではありません。よっちゃんイカのビニール包装の上には、まず白インクによる印刷がされた上で、その上に黒インクによる印刷がされていて、アタリ・ハズレを描いているのは実は黒インクではなく白インクの方なのです。
つまり、黒インクは周辺をベタに塗りつぶしているだけで、アタリ・ハズレの文字を(中間調の文字として)抜くように白インクによる印刷がされていてるのです。すると、包装の内側から眺めると、「背景」部分には包装ビニールのすぐ上には白インクがある(白インクの向こうに黒インクがある)のに、アタリ・ハズレの文字部は透明ビニールのすぐ上に(部分的に)黒インクがあり、クジの文字部分が黒く見える、というわけです。
このように白インクでアタリ・ハズレを印刷した上に黒インクによるベタ印刷を行うということをすると、クジ部分を透かし見てみた時には、文字部分の方が明るく輝いて白く見える、という現象が生じます。なぜかというと、透かし見た時には、白インク部分は(白インクがない場合・部分よりも)暗く見えるからです。たとえば、明るい太陽を直接眺めるよりも、白い障子越しに太陽を眺めた時の方が暗く見えることと同じように、あるいは、曇りガラス越しの太陽の方が直接太陽を直視するよりも眩しくないということと同じように、白インク越しで見る部分の方が暗く見えるのです。
アタリ・ハズレが白インクで中間調の抜き文字として描かれていて、その上を黒インクでベタ塗りつぶしがされているので、「袋を開けてみると黒文字でアタリ・ハズレが見えるけれど、透かしてみると明るい白文字として浮かびあがってくる」という現象が生じるのです。
さて、このような特殊な印刷がされているために、よっちゃんイカの袋は特殊な配置で光にかざすのでなければアタリ・ハズレは見えない(ただ普通に光にかざしてみただけでは、アタリ・ハズレを透かし見ることはできない)というクジに関するセキュリティ確保がなされます。…その仕組みについては、また明日にでも書いてみようと思います。