2004-01-26[n年前へ]
■誰の中にだって佐吉はいるんだから
マツモトさんの「強い人」とか「弱い人」とかを読みながら、こんな文章を思い出す。
(自殺した山田花子の)親父さんと話している最中、突然「藤吉-佐吉問題」というものが浮かび上がってきた。藤吉も佐吉も根本敬マンガの根本的キャラクターで、この世界は、小心で善人でいつも他人からいじめられる「藤吉」と、強烈なアッパー系でいつも自分のエゴに他人を巻き込みいい思いをする「佐吉」によって成り立っている。「どうも由美(山田花子)は藤吉は自分であると同時に、根本さんも藤吉である、と思いこんでいたフシがあるんですよ」
この話を根本敬にすると、「はーん、すると俺の中に吉田佐吉が見えて来ちゃって失望したと…。だけどね、山田花子の中にだって佐吉はいるんだから」という答えだった。
「消えたマンガ家」 大泉実成