2010-01-27[n年前へ]
■続:井の中の蛙(かわず)、大海を知らず (初出:2005年09月18日)
「井の中の蛙、大海を知らず」に続く言葉と言えば、前回の「しかし、空の蒼さを知る」という言葉の他に
井の中の蛙、大海を知らず
されど、空の高さを知る。
なんていうものもありました。「井の中の蛙」が知っていることが、井戸の底から見上げ眺める「空の蒼さ」でなく、「空の高さ」になっている一節です。この一節も、今の季節の秋空にとてもよく似合うような気がします。
そういえば、手元にある新明解国語辞典で「空」という言葉の意味を調べてみると、
(自分が立っている所と違って) 手の届かない、はるかに高い空間。
と書いてあります。 「手の届かない、はるかに高いところにある」ものが「空」である、というわけです。新明解国語辞典の「空の定義」を知った上で「井戸の中の蛙」に自分を重ねてみれば、「井の中の蛙は(自分が立っている所から)手が届かない、はるかに高い場所の遠さ(高さ)を知っているのだ」という文章は、なぜか心に響くような気がします。
新明解国語辞典いわく「両棲類の一種で、よく跳ね、よく泳ぐ」という「蛙」でさえ、いえ、だからこそ、(自分が住む)井戸の中から仰ぎ見る「(手が届かない遠くにある)空の高さ」を他の誰よりもよく知っているのかもしれない、とふと思うのです。