2012-08-18[n年前へ]
■続「ビールの法則」で「白ビールの酵母・小麦タンパクの量」を見極めろ!?
「ビールの法則」で「白ビールの酵母・小麦タンパクの量」を見極めろ!?で、「酵母や小麦蛋白が濾過されずにたくさん残っているヴァイツェンビールの色から、酵母や小麦蛋白の量を見極めるための研究」を始めました。具体的には、「ビールの法則」ならぬ「ランバート・ベアの法則」と「ビールに溶け込んでいる色素の色(分光吸収率)」を使って、ビールグラスを外から眺めた色とビールに溶け込むことなく濁っている成分の量を結びつける式を導き出してみました。
そこで今回は、導き出した「ヴァイツェンビールの濁り成分量と外見色の関係式」から、濁り成分量を変えた時(つまり濾過されずグラス中に残っている酵母や小麦蛋白の量が違う時)、ビールの色がどう違って見えるかを眺めてみることにします。
まず、ビールに溶け込んでいる(光を吸収しても散乱はさせない)成分の分光吸収率が右のような吸収スペクトルだとしてみます。「ビールといえば黄色」ですから、ほぼ黄色以外の波長の光を吸収するような特性です(グラフの黒領域が吸収される量を示しています)。
そんな「黄色いビール」の中に含まれる濁り成分量を「全然入ってない~たくさん入ってる」まで9段階の条件下で、「ヴァイツェンビールの濁り成分量と外見色の関係式」を使って「ビールグラスの外見色(スペクトル)を算出してみると次のようになります。左上が濁り成分が全然入っていない状態で、右下がたくさん濁り成分がグラスの中に入っている状態です。
「濁り成分」が全く入っていない条件では、青色や赤色の波長の光は多く吸収され、黄色近くの波長の光だけをビール外部に放出している=綺麗な黄色に見えていることがわかります。
それに対して、濁り成分が増えてくると「ビール内部で光が散乱され・青色や赤色が吸収されないままビール外部に出ていくために、どの波長の光も結構強く残っている=白色に見える」ことが見てとれます。そして、その濁り成分の量と「ビールの白っぽさ」が対応していることも、(当たり前ですが)確認することができます(参考までにCIE Lab空間での色座標推移も右に貼り付けておきます)。
こんな「ビール研究」を(ビールを飲みながら)していると、スマフォ・カメラでビールグラスを撮影するだけで、ビールの酵母・小麦タンパクの量…ありとあらゆるビールの特性を教えてくれるスマフォ・アプリなんていうものも、きっと近い将来には登場しているに違いない、という気がしてきます。
作成した計算ノートブックはここに置いておきます。このノートブックは、以前作成した「色」を計算するためのMathematica用ライブラリの最新版です。また、このライブラリには三次元構造の中で反射・屈折・散乱を行う「光」のスペクトル変化過程を計算するための機能も入っているので、その機能を使って計算・解析してみるのも面白いかもしれません。