2005-07-26[n年前へ]
■測地系のズレと地震グラグラ
「日本測地系と世界測地系のズレ」の話を読み、先日の渋谷で揺れの大きい地震に驚き、学生時代に学んだ内容を思い出した。それは、第二次世界大戦前にあった同じような「二つの測地系のズレ」の話である
第二次世界大戦前、東京を原点とする日本の測地座標系と長春を原点とする旧満州の測地座標系が結合された時にも同様の「二つの測地系のズレ」問題が発生した。これは、東京原点付近の地殻構造が複雑でジオイドが「地球全体に適合する楕円体」に対して傾斜しているからである。(各原点の位置計測精度によるズレによるものでなく)各原点のジオイド形状の違いにより、その問題が生じた。
測地系で用いられる準拠楕円体は、「原点におけるジオイド」に接する「ベッセル楕円体」として定められる。ジオイドとは「重力の等ポテンシャル面のうち平均海面と一致するもの」である。地形形状や地面内部の物質分布などにより、滑らかではあるが決して単純な形状ではない。特に、東京原点付近のような地殻構造が複雑な地域では複雑に凹凸を持つことになる。
そのため、(ジオイドが凹凸形状をした)東京を原点とする日本のベッセル楕円体と「地球全体に適合する楕円体」は中心位置が大きくずれたものとなる。それに対して、(大陸内部に位置しジオイドの傾斜量が小さい)長春を原点とするベッセル楕円体と「地球全体に適合する楕円体」のズレは比較的小さい。その結果、東京を原点とする日本測地座標系と長春原点の旧満州測地座標系の間にズレが生じたわけである。
最近巷で見かける「日本測地系と世界測地系のズレ」も原因を辿れば、東京原点付近の地殻内部構造に端を発していることになる。つまり、結局のところ、日本で頻発する地震とその原因は同じであるということになる。測地系の位置ズレ問題とプレートの位置ズレ問題(地震)は似たような話、と言うことができるかもしれない。